海老の殻を剥く

作詞

地中海に面する美しい町アレキサンドリア。五世紀に一人の類い希なる美貌の女性がいた。哲学者であり数学者であり天文学にも通じていた。名前はヒュパティア、図書館長の娘に生まれ召し使いの教養ある男といつも太陽の近似点は可笑しいとか、議論に明け暮れていた。

当時エジプトは、ローマ帝国の支配下におかれ台頭してきたキリスト教と古いギリシャ系の哲学主義が激しい闘いを繰り広げていた。ある時ローマ帝王による非キリスト教の建物の破壊を認めたため
図書館も破壊され、彼女もキリスト教修道士たちによって虐殺されてしまう。生身のまま牡蠣の殻で身を削がれ死んでいった。

キリスト教から異端と見られ激しい迫害を受けながら戦い抜いたヒュパティアの生きざまには戦慄さえ覚え彼女の魂が鎮まることを祈るばかりである

 

海老の殻を剥く   作詞 つばめのす

人々のイデオロギーが社会観念を作り
それが変わるとき 人は残酷になる
牡蠣の貝殻で骨から肉を削いでいく
人の痛みも解さなく虐殺する狂気のダンス

我が心の呟きと ラジオからのそれと
微妙に齟齬が感じられて黄昏の街を行く
人を教導するより知らぬ顔で
我が魂をwalletにしまい背を向ける

海老の殻を剥くように
生身の肌を冷水に晒す
生きる養分さえ有れば こんな世界に
生きる理由も無い 我が世界を行く

魂を解放させれば その向こうが見えるのか
飛び出せば翔べるのか その保証もなく
怯える雛鳥のように巣に籠る
でもそのチャンスは確実にそこまで来ている

濁った風に身を晒すには少し生きすぎた
友も逝き 愛も消え果て砂漠をさ迷う
魂が見える頃 答えを出す頃
海沿いのレストランにブイヤベースの匂い

 

この作品の著作権は作詞者に帰属します

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