カンジダ

作詞

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全英女子オープン

最近女子プロゴルフが大人気である。渋野選手が四十二年振りに海外メジャーを制して凱旋してきたからである。それは素晴らしい勝ち方であった。笑顔を忘れず自分の持てる力であくまで大胆に強気に攻めた結果である。誰でもが出来る所作ではない。

あるものはそれを見て、かなりの強運のせいだと言う。あれだけの運が有れば誰でも勝てるとも言う輩まで出てくる。果たして運だけで勝てるものだろうか。そもそも運とは何なんだろう。彼女の場合、去年のプロテスト合格までにホールインワンを試合中に成し遂げている。しかも六百万円の賞金が掛かっているホールである。普通プロのトーナメントでも多くても二百万円位だ。それだけでも運がある。

そして夏にプロテストを合格し、今年の開幕はウェイテイングで二試合目に初めて試合に出た。そしてそれから初めての令和のメジャーで優勝する。次に今年から始まった大会にも勝ってしまう。それから全英女子オープンの出場権の掛かった大会でギリギリ滑り込んで出場を果たす。何もかもが漫画でも滅多にないストーリーで旅立っていく。

ロンドンのヒースロー空港に着いた途端ホームシックにかかり日本に帰りたくなったそうだ。そんな子が私の見る限り強かなゴルフを演じてしまう。入ればバーディー、外せばボギーのパーを狙わないかのようなパッテイング。乗るか逸るかのミドルホールのワンオンを狙いに行く豪胆な性格。

最終日、最終ホール、優勝の掛かった下りのロングパット、普通なら慎重にツーパットで行こうとする。でも彼女はプレーオフは嫌だな、スリーパットなら直ぐ帰れると考えた。そしてさして躊躇うことなくかなり強く打った。あれは見ていたら分かるけどカップに入らなければ三メートルは行っている。度胆を抜くパットをやってのけた。そして突き上げたパター、満面のスマイル、一躍女王になり果てた。

それを持って人は彼女は運を持っている。運が無ければああはいかない。確かにそうだろう、漫画にも描けないようなシンデレラストーリーを一年でやってしまう娘の強運は何処から来るのだろう。

スポーツは小さい時からコツコツとやって来て努力を積み上げないと形にさえならない。産まれた土地、家柄周りの人、あらゆる要素が絡み合って成り立つ。どんなスポーツでもおんなじだが、特にゴルフは誰に習うかに依って全然結果が違ってくる。その師匠の考え方、コーチの技量それに左右される物は計り知れない。誰に付くかだれに教わるかも運で決まる。

わずか五年で決まってしまう。だからタイガーのように何回もコーチを変えるプロゴルファーも珍しくない。でも日本に於いてコーチをそう何回も変えるのは容易くない。人間関係が濃密で陰湿な部分が有るから尚更である。今回の彼女の場合コーチを変えた途端素人目にも分かるほどのフォームの変化、メンタルの変化、パッテイングの考え方なんかはその最たるものであろう。届かないと入らない、だからスリーパットを恐れずに薄く強く狙えと教えられきたえられたので有ろう。そのうちボギーを抑えてパーが狙えるはずし方を覚えれば最強になっていく。まさに彼女が今その過程に有るのだろう。狙わないともぎ取れない。ボギーを恐れていてはバーディーはない。その考え方は外連味がなく気持ちが良い。

翻って我が身はどうであろう。チビり倒して散々な目に遭ってもまた次も繰り返してしまう。大胆さの欠片もない。そのうち年月だけが積み重なり生きていくせいの垢が身体中、心中そこかしこにカビが生えてくる。風呂で洗っても心の垢が取れません。大したコーチにも付けず、大した教育も受けれずそれはそうとしかならないであろうと言う人生。いつしか心がヒリヒリする、涙も湧かない擦れた日常もう歌さえも感動しなくなってきたこの頃。

人の人生、人の強運を羨んでも雨も降らない。物事を暗くネガティブに捉え怪我もしたくないからこれで良いと言い聞かせてきた人生、成功する筈も無いので有ろう。好事魔多しではない、悪事魔多しの例えのような人生このコメントを書いていても後ろ向きな発想しか浮かばない。それもこれも後ろ向きな考えが呼び込んだ真菌が心の襞にまでこびりついているのだろう。この間舌がヒリヒリするから歯科に行って来た。カンジダ症ですと言われた。平たく言えば舌にカビがはえています。笑ってしまった。薬局で処方してもらった抗生物質入りのシロップを舐め最後にごっくんと飲み込んだ。暫くしてひとりカラオケに行った。何故か声が綺麗に成っていた。

カンジダ

作詞 つばめのす

嫌いでもなく好きでもない この日常
過ぎていく日々のなかで
時々 しんどい日がある
普通は嫌でない事が 出来ない
喋ろうとして 声にならない
人は通り過ぎていく 私など気が付かない風に

生きていくうちに こびりついた垢が
心をヒリヒリあぶっていく
どこかで日和見感染したのだろう
そのうち消えるだろうと思っていたのに
思ったよりしつこい 滅入った日には堪える
何か良い抗生物質でも無いかしら

恋は燃えるもの だからいつか燃え尽きる
日焼け予防薬を塗っていたから
今回はこのくらいですんだ恋だった
あなたが痛みとともに消えていく
もうかからないだろう 免疫が出来たから

前もそう思って暮らしていたのに
いつの間にか ぶり返している
なんて下手なの生きる事が
そんなに難しいことじゃないでしょ
常備薬を見つけてきたわ シロップになっているから 私でも飲めるでしょう

 

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