夏のさくら

作詞

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司法取り引き

人間は生まれながらに罪が有る。人は生まれながらの貪・瞋・痴(とん・じん・ち)の三悪徳を持っている。たとえそうであっても、そう生まれてきたからにはその個性を全うしたい。それが何も分からなくて世間に放り出された者のせめてもの抗いだから。

みんな善良で同一の個性に改心しなさいと言うなら、初めからそんな悪性の物を作らなければ良かったのではないか。全能の神ならば、須弥山に住む仏なら初めから善良の小人を作って遊んでいれば良かったのでは。

私は神や仏とは司法取り引きはしない。たとえ金輪際の果てに飛ばされようと自分で昇華していく。理由は訳もなく俗物に作られ生まれ落とされその上でまともに成りなさいと諭されても、そうですかとはならない。それではあまりにも面白くないから。ただその一点で好きにはなれない。面白くないから。

夏の盆踊りの終わりに、家に帰る浴衣の少女の笑顔に五十年毎の歳月のアクリル板が嵌められていく。手にはかき氷と景品を持って。この少女が大人になる頃には、私はこの世に居ないだろう。この少女もすぐアーカイブのフィルムの中に取り込まれて行くのだろう。半世紀毎に繰り返されるオリンピックと万博、団地が作られベイエリアが開発され今はタワーマンションへと変化していく。

五十年経てば人も建物も朽ちていく。半世紀を二回経験できるのは幸せな方だろう。戦国時代は人生五十年と詠われた。今はそれを二回も回せる。いくら回わせても時は戻らない。念仏を唱え神に祈っても時間の鎖は錆びていく。ステンドグラスで作った街灯に灯りが入る頃、チベットのマニ車のように地球は回っていく。あと何回回れば幸せがやって来るのだろう。地軸が立っている偶然のお陰で夜と昼が有る。地軸が寝ていたらずっと寝ることも叶わなかっただろう。誰が回すかマニ車、もう少し私の時代にしておくれ。これは何も神に祈っているのではない、誤解しないで下さい。神や仏を否定する私でもつい願いたくなるくらい酷い世の中、あと幾晩泣いたら平和が来るのでしょう。

いまだに石油及びガスをコントロールするものとそれに連なる者が大きな顔で我が物顔でこの世界を睥睨している。人の生死まで手の内のナイフで処理している。宗教の力をも歪める強力で世界を食い物にしている。

この世界に有っても無くても良いものに宗教があると思っている。確かに宗教にいい面も有るけれど、姿を見せない悪い面がそれを相殺している。有っても無くてもいいものを首にぶら下げて生きるより、ノーアクセサリーでスッキリ生きる方を選ぶ。宗教無しで生きるなんて大海を救命胴着無しで漂うようなものだと言われることが有るが、私のゴールはもう少しだからこのまま生身で泳ぎ切ろうと思う。たとえ生まれ変わっても同じだとは思うけど。この世で嫌いなもの苛めと宗教。

もう一つ言うと宗教のマイナス面は、真っ当に宗教している人と、宗教の持つ強大な力とシステムを己の欲に利用している人の区別が非常に付きにくいと言うことだ。非常に分かりにくい。ホモサピエンスがネアンデルタールに比べて生き残れたのは、宗教が有ったからだと言う説が有る。それは確かだと思う。氷河期を生き抜くときに足りない食糧を宗教の力で離れた集団と遣り繰りして凌いだのであろう。ネアンデルタール人は小集団がゆえの行き詰まりに耐えられなかったのであろう。

でもそれが文明が発達し人口が増えていくにつれ、集団間の争いに繋がっていく。それも宗教が原因で起こる争いが多発する。もっといけないのは自分の悪行を宗教を隠れ蓑にしている輩だ。宗教は宗教、現実は現実と割りきって行く確信犯。宗教の持つアキレス腱とも言う悪を容認、良く言えば包容してしまう包容力を利用している奴が数多くいると言うこと。それが宗教が持つ弱点であろう。真摯に世界の平和を願う宗教家も数多くいる。でもそれを帳消しにする似非宗教家が跋扈する。

既往の宗教は上で述べたウィークポイントを残念ながら克服出来ていない。このままでは弱点に引っ張られてダークサイドに落ちていく。もっと前頭葉で処理する新しい宗教の誕生を激しく望む。国家の利益やグローバル企業の利益に左右される宗教は淘汰していくべきだ。夏の桜がハラハラと落ちていくように一人一人の人生が輝けるようになって欲しい。

夏のさくら

作詩 つばめのす

人の心の痛みを あとどれくらい知ると
この世が 平和になるの
抜けるような 青空のもと
焼き付くような 灼熱天国
大好きな季節に 私を苦しめる

人の思いから 剥がれていく
喜びや 悲しみ 千の葉に積もっていく
ヒラリ ヒラリ 舞い落ちる
夏のサクラのように

誰が 悪いわけでもない
生きるために もがき苦しみ
なすすべも無くなれば
あとは 己の心に
痛み止めを 打つしかない
体温計も アスピリンもくだけ散る

夜の低温に 助けられ
あすに 望みをつなごうとする
静寂のなかに 昼間の光景が
日焼けした網膜から 不貞腐れたように
剥離している

もう寝なければ 本当に逝ってしまう

 

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