工業地域

作詞

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工業地帯と工業地域

日本には、三大工業地帯がある。京浜、中京、阪神の工業地帯。昔は北九州も入っていたが最近は外されたらしい。それともう少し規模の小さい工業地域と言うものが有ります。

京葉、東海、堺泉北臨海、播磨、瀬戸内、大分臨海、北海道、北陸、常磐、関東内陸工業地域と日本の回りを殆ど固めたように広がっています。太平洋に面した場所を特に太平洋ベルトと呼ぶらしい。産業革命以来人類の発展を引っ張ってきた工業、業種によって流行り廃りがあり、各地域の盛衰が起きます。

工業が発達するには、広い場所、豊富な水、そして何より良質で沢山の人口、それらが揃って始めて開けていく。その点で瀬戸内は気候も穏やかで水もある、埋め立てなどで工場用地も確保しやすい。造船所もあり軍港もあり製鉄所まで有った。

完子

完子は高校三年生、自転車で通学している。一時間弱掛かる。母親は出ていっていない。父親の分と二人分、毎日お弁当を作る。いつもはちゃんとした下の道を走るのだが、時間があって気分のいいときは、堤防の上を走る。気が大きくなり、昔の水軍見たいに天下を取ったような気分に浸れる。

もうそろそろ進路を決めなくてはいけない時期に来ている。大学に行きたいけど家の事を考えると言い出せないでいる。どうしょうかなお父ちゃんを助けてあげたい気もするし、大学に行きたい気もある。いつも途中で一緒になる智子が来た。「おはよう」挨拶をすると悩みも忘れて昨日のテレビ番組の話しに直ぐ話題は移っていった。

三時間目の授業が終わり、次の体育の用意をしようとしていたら、教頭先生が飛び込んで来て完子直ぐお父さんの会社へ行け、倒れられたみたいだから。

私は焦った。みんな放り出して自転車に飛び乗った。車だった30分位だけど自転車だったらどのくらい掛かるかな。後悔していた、先生が車で送って上げようかと言ってくれたけど、大丈夫ですと断ってきた。お父さん無事でいて。工場の仕事は大変危険だと聞いていた。

その日に限って信号にばっかりり引っ掛かる。歩行者の人も今日は邪魔しないで。やっと工場の門までやって来た。守衛の人に訳を言うと、診療所の場所を教えてくれた。工場内は広くて中々着かない。診療所に着くと看護師さんが案内してくれた。部屋に入るとベッドの上にこちらを向いて座ってる父親が見えた。生きている、ほっとしたとたん涙がどっと溢れてきた。

父親が何泣いてるんだと言う。私は死んだかと思って飛んできたのにとすがって泣いた。父親は私の背中を優しく撫でながら、お前が嫁に行くまで死ねんやろと言った。

溶鉱炉の熱でやられたらしい、側に同僚の人がいたから助かったけど、一人やったらやばかったらしい。父は会社の車で送られて帰ってきた。二三日休むらしい。

こんな話は日本の何処でも有るんだろう。産業が人を抱える時代は終わった。業種によっては、設備と人員を整理して余った資力を別の方向に再投資して企業を保持していこうとする。それによって企業内には嘗てない内部留保が生まれ、人は逆に企業外に放り出されていく。企業自体も生き残りを掛けて、合併連携と手を打っていく。人は歳を取っていくし、新しい技術に触れる機会も減っていく。

これからの日本を担う子供たちも少子化の波に襲われ減少の一刀両断を辿る。やっていかなければならないのは、重工業で吸収してきた人口を革新と新しい発想でそれらを未知のゾーンへ導いて行かなければならない。旧態依然の政治と教育では、それも叶わない。これだけインターネットが発達しても、日本はそれでもこの分野で遅れて行く。その辺の危機感の無さが取り返しの付かない国力の減少に通じる。あらゆる規制を見直して資金をわけのわからない分野に投じて行ける勇気が求められる。

小学校に入ったら、一人1台パソコンかタブレットを無償供与して、五年に一度新機種に変えていく位のことはしていかなければならないし、また今の国力なら幾らでも出来る。それをしないのは、未必の故意によるサボりに取られても仕方がない。目的をミスリードしてもいいものは何も生まれてこない。今無駄と大人の知恵で考えても駄目である。取り敢えず無駄なことでもやることに評価を与える長い目で見守っていく姿勢が大事である。

お金が無いから大学を諦めるなんて最悪に近い。利息なしの奨学金でもこしらえて長期返済の形を取れば幾らでも金は回る。そこで利子を取るなんて発想が可笑しい。大学を出ても有利子の返済に追われまともな家庭も持てないなんて、また少子化にも繋がるし人の道から外れている。政治家の皆さん国民の皆さん宜しくお願い致します。

 

工業地域

作詞 つばめのす

私の 生まれた町は
寂れた工業地域
高校まで 一時間
小学生の頃 母は出ていった
父は 製鉄所 でも昔みたいに
儲からないって
もうすぐゴルフ場になるって

今日は 進路相談
どうしようかな 都会に出ようかな
大学に行くお金 うちにないし
潮風が 淋しく 笑って行く
母さんに逢いたいな
今頃 何してるかな
考えても仕方ない なるようになるさ

父さんが 倒れた
会社の診療所まで走った
どうしょう どうしょう
心臓が バクバクする
大丈夫 大丈夫
父さん 強いから
ベッドに 父さん 座ってた
涙が 全部 溢れた

 

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