裏切りの街 東京

作詞

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夢の街 東京

東京と言えば、ハイパーメディアアキュムレーションスーパーシティ。卵焼きの味が甘い、饂飩出汁が黒い、おでんのちくわぶ色々違和感がある。でもその情報の集積化は素晴らしい。

 

元々徳川も三河の出、代々の嫁も近江の田舎侍の娘が多い、遺伝的にはあの辺りの血を引いている。徳川三百年明治大正昭和平成百三十年、関東大震災、東京大空襲揉まれかき混ぜられ麩のように粘りけが出てきた。

素晴らしい建物、情報の拠点何をするにしてもまず東京、放送のキー局、行政の驕り、司法のなれの果て、立法の緩みあらゆるものがここにはある。そりゃ地方の若者を惹き付けるパワーは半端無い。それと跳ね返す力はその数倍もある。惹き付けて面倒見るなら良いがそんなに甘くない。

スーパーアイドル、IT王者、AV女優、キャバクラの女王、お笑い芸人エンターテイメントだけでも無数にある。普通の仕事教育出版芸術数え上げればきりがない。上手く行けばこんな楽しい場所はない。二十四時間酒を飲んで騒いで仲間と遊ぶ。お金が幾ら有っても足りない。

仕事で稼げる分家賃がべらぼうに高い。地方の二倍三倍、人混みが凄い物価が高いそれでも一番集まる。東京の貧乏人ほど貧富の格差を見せつけられている人種もいない。だから見栄を張る、宵越しの銭を持たない、もともと持ってやしないんだが格好をつける。江戸時代の参勤交代で付いてきた地方武士なんかいかほどで有ったろうか。江戸の成人男子の半分は独身だったというか、単身赴任を含めるとかなり女子が不足したと思われる。だから吉原なんかが隆盛を誇った。話が逸れるが、北斎の娘お栄(応為)の作品に『吉原格子先之図』がある、私の好きな構図である光と影の塩梅がいい。領家に帰ったら江戸の生活振りは自慢たらたらだったであろう。

今地方の人間が東京に行けばどんなに銭を取られるか。まず新幹線、飛行機代の高いこと、号泣ホテルなんかとても泊まれない一泊一人で四万なんてあり得ない。また安宿を探すのも苦労だ。ろくなところに泊まれない。飯も高い、衣食住の三重苦難が押し寄せてくる。家族でいこうものならどうする。一家でデズニーランドなんか行くと五十万は掛かる。

そんな東京だから好きな人が多いのでは無いだろうか。でも弾き出される人も多いと思う。好きで嫌いで色々な感情が混ざってると思う。

今回、ニューヨークであったテニスの全米オープンで優勝した大坂なおみ選手は素晴らしい。何がいいかって、お母さんが北海道根室生まれ、札幌でハイチ系アメリカ人のお父さんと恋に墜ち、大阪で生まれたなおみ選手がフロリダで育ちニューヨークで優勝した、東京が一つも絡んでいない。アンチ東京マニアの私にしたら小気味がいい。本当は好きなんだけど素直には言えない。こんな国際系な子がどんどん出てきて世界で活躍して欲しい。

正男は迷っていた。もう帰ろうか、それとももう少し頑張ってみるか。東京に出てきて十年もう三十を越えたのにバイト生活。東日本大震災の時は帰宅難民になったけど、帰りたいとは思わなかった。今は東京難民になりかかっている。各世代に俺みたいな連中が何十万人と居るんだろうな、そこから芽を伸ばす奴へたれる奴それは仕方がないことかも知れん。幾ら東京でもそんなにキャパはないだろう。誰でも彼でも成功できるなんて無理だろう。下北沢の劇場に出て祖師ヶ谷大蔵の居酒屋でバイトして何の意味が有るんだろうとの、自問自答で過ごした十年。もうそろそろ潮時だろう。次のライブが終わったら帰ろう。

裏切りの街 東京

作詞 つばめのす

夢を賭けたのに 命を掛けたのに
何もかも奪い去っていく東京
裏切りの街 東京

欲と下心を夢に変えて
出てきたあの頃 目も心も燃えていた
毎晩友と語った 朝まで飲んだ
目を擦りながら新宿駅

愛も常識も若さが作るものだと
信じて疑わなかった
涙も苦しさも火炉に入れて溶かせば
情熱の火種になると思ってた

関東ローム層が赤いのは
人の涙が赤いからと知ったあの夜の
冷たい雨
あの人が消えていき友が去って
一人残った三畳のフロア

奴隷の身分は分かっていた
でも抜け出せる自信はあった
抜け出してやると言う気力も有った
それが削がれて行くのに時間は掛からなかった

今も好きなのに憧れているのに
嫌いになっていく自分が切ない
今日も副都心線が目の下をガタンガタンと
もう俺も行こうかみんなが消えていった次元へ

 

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