四天王

作詞

Contents

須弥山の守り神

 

私の祖父は、祖父と言っても義理の祖父ですが、私の実父が養子に入ってたのでそうなります。少しその祖父の話から入ります。福井県出身です。私の実父も同じ村の出身です、実父の家は代々その村の大庄屋だったらしい。

祖父はその庄屋の家で番頭みたいなことをやってたらしい。番頭でも悪い番頭で年貢の米を計るとき、袖に少しずつ横流しするだけで家が一軒建ったそうだ。そんなだから村を追い出されたらしい。横浜へ行きそこで家具屋に奉公してそこの娘を孕ませ結婚したんだが、やっぱり長続きしなくて放り出されたらしい。明治の終わりに満州へ行くと言って京都の山科の知り合いのお寺に行き、今の金で百万円ぐらいを借金して満州に渡った。

そこは映画でも有るように、兵隊とやくざの世界だった。そこで陸軍に取り入り兵舍の建設を請け負った。満州鉄道にも顔がききホテルなどを建てて行って大儲けをした。その時一緒に働いた人の名前を取って、阿川組と名乗っていた。昭和の始めには日本に帰って土地を買った。その時悩んだらしい、東京で買うか大阪で買うか。結局大阪で三万坪ほど買った。今思うけど何故その時東京の自由が丘に買っておいて呉れなかったのか。

そして故郷に錦を飾り、子供が出来なかったので庄屋の次男である私の実父を養子にしたと言うことです。大阪に二千坪の屋敷を構え暮らした。日本は戦争に負けその時まだ満州にいた父たちは膨大な財産を放棄し命懸けで帰ってきた。姉二人は満州生まれである。戦後先に帰っていた祖父の屋敷には番頭を始め使用人たちが頼ってきて大家族になっていた。そんな中私の母が嫁に来た。

祖父の性格だし、番頭たちが満州であったことを、あれやこれや祖父に諫言するものだから私たち家族は居てられなくなり、母の実家に逃げるように避難した。実家と言っても母の弟たちが結婚しだすと居ずらくなる。母の実家は前にも書いたが製鉄所で儲けてかなり大きな屋敷だった。

私が幼稚園児の時、祖父の家作の一軒に引っ越してきた。母と父は毎日屋敷に通い仕事をした。仕事と言っても広い屋敷の庭の草むしりだった。それでも母は辛抱して私達が大きくなるまで育ててくれた。

学期末には、通信簿を見せに祖父のもとに行かなければならなかった。それが嫌で嫌で一時間も座らされ説教を食らった。成績は当時の評価でいわゆるオール5でした。それでも血が通って無いのか性格なのかしつこい説教でした。私の成績が良いのもしゃくにさわるようでした。祖母が輪をかけて冷淡な人だったので面白くなかったです。

そんな中、何を思ったのか動物園に連れて行ってやると言って私一人をつれて天王寺まで行きました。当然電車の中の会話なんてありません。園内でも祖父は一人すたすたと行くもんだから、案の定私は迷子に成りました。何とか祖父が迎えに来て、今度は四天王寺にいこうと言い出した。

当時の四天王寺は凄い人出で凄かったです。ちょうど戦争で焼けた建物を修復してた頃だと思います。特に亀の池の回りや見世物小屋も出て大混雑でした。今では考えられない見世物が出て、覗き窓から覗くと地獄が見えると言うのも有りました。そんな祖父が亡くなったときは使用人たちと揉めて、結局財産を半分渡し出ていってもらいました。

当時戦後の第一次ベビーブームで私の通った中学校は、一クラス60人で20組有りました。私は一組だったので20組の連中の顔なんか定かでは有りませんでした。地元の中学校には行かず母が進学の為にと居留地を探してきてわざわざ天王寺区の中学校にやって呉れました。いわゆる越境です。ですから毎日近鉄電車に乗り腕が千切れるかと思う位重い通学鞄を持って通いました。

高校も天王寺区だったので昔から天王寺とは縁が有ったみたいです。予備校も天王寺区のYMCAだった。初めての彼女と知り合ったのも、天王寺区と阿倍野区の接点の天王寺ステーションの近くの小さな喫茶店でした。

そんな天王寺だから何か歌でも書こうと思ったとき、青春って一種殺伐としたところがありあまり歌にもなりません。悲し過ぎると涙が出ないと同じかな。ノスタルジーも感じないし坦々としています。その彼女ともあまりいい別れ方をしてないからと言うのも有ります。でも書きます。

四天王

作詞 つばめのす

四天王 あなたは知ってんの
四天王 Do you know Sitennow
須弥山の帝釈天を守ると言う
太子も誓願した四天王

この荒れ果てた陵を行く一人の若者
戦の果てに失った情(こころ)を探して
あの時は有頂天だった 金輪際愛さないと
誓ったのにあなたを愛した
その罰を受けるために今は行く

誰も教えてくれなかった
誰も聞く人も居なかった
ただ一人さ迷っただけ
うちひしがれて帰ってきても
誰も迎えては呉れなかった

部屋の隅に踞り膝を抱えて眠った
目が覚めたら明日が見えるかと
ただひたすらに瞼を閉じた
目を開けたときあなたがいた
そして愛した ただそれだけだった

誰か助けて 助けて四天王
この世界の守り神 四天王
持国天 増長天 広目天 多聞天
最強のガードマンたち

四天王 あなたは知ってんの
四天王 Do you know Sitennow
須弥山の帝釈天を守ると言う
太子も誓願した四天王

 

この作品の著作権は作詞者に帰属します

タイトルとURLをコピーしました