夏の夕暮れに思うこと

作詞

初瀬の山を登り本堂につく頃には、額に汗が滲む。振り返ると山の中腹を使った雄大なロケーションが見える。牡丹の季節には鮮やかな紫がグラデーションをなし、緑にスカーフを纏わせて行く。

あの人と来たときは雨が降っていた。今は一人で回廊の緩い階段を上がっている。もうすぐ本堂に着く、観音様に手を合わせたら少し休んでいこう。

ひんやりとした御堂の空気と目に飛び込む緑が、いまの私を癒してくれる。店のママが「山へでも行って休んでおいで」と言ってくれたので、人の伝でこのお寺に来た。

女の香りを売る商売なら、仕方が無いことが時々起こる。でも私の気持ちは一つあなただけ。あなたの嫉妬は嬉しいけれど、少し二人の気持ちを落ち着けましょう。

蝉が鳴いている。風が吹いてきた

夏の夕暮れに思うこと

作詞 つばめのす

貴方の願いが叶うまで 滝に打たれて参ります
女盛りの私だから 男が色目を使い
可笑しなことになりました

体も心も貴方一途 今度会えるときは
男の細かな 猜疑心など捨てて
強く私を抱いて下さい

夕暮れのお寺のお堂の板の間は
ひんやり素肌に気持ちいい
風が運ぶ貴方の匂いに
微かに体が 固くなる

庫裏の方から 開版を叩く音が
一緒に食べた相合御膳を思い出します
ひぐらしの鳴く声が カナカナカナと響いている

夜になり 人里離れた山寺で
一人寂しく思うこと

私も確かに悪かった 男の人って
変な勘繰りをするものね
今は貴方のことを思って反省しています
鹿の鳴く声が 森に響いて
眠れぬ心に 突き刺さる
もう放さないは 貴方の手を

 

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