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秀吉が愛した女 憎んだ男
出町の剣先を明け口にしたファスナーのように橋で閉じられている京の町。賀茂川と高野川が合流して南下していく。みぞおちの辺りに三条大橋が有る。今は清々しく流れ行く鴨川そんな川にもおどろおどろしい過去がある。
三条大橋は交通の要所であり、東海道五十三次の終点に当たり弥次さん喜多さんの銅像も立てられている。人通りの多い所なので幕府や領主が民衆に対して方針などを周知させるために高札を掲示した高札場が三条大橋の西詰北側にあった。
そんな華やかな情景の裏に、古来よりこの三条の河原には死体を捨てると言う野捨てが行われていた。そして六条河原と共に有名な三条河原の処刑場が有った。
1595年8月2日三条河原には、亀山城に留め置かれていた豊臣秀次の妻や妾や幼い子供たちまでも含めると三十九名が送られて来た。それに先立ち高野山で切腹介錯された秀次の首をさらし三十九名の刑が執行された。まず子供たちを槍で突き刺し女たちは首を切られ鴨川の水は真っ赤に染まったと言われている。穴を掘って全て放り込み埋めてその上に秀次の首を晒したと言われている。何故ここまで豊臣秀吉は甥の秀次を憎んだのであろう。
憎む余り豪勢を誇った殺生関白秀次の住んでいた聚楽第も基礎まで悉く消し去られた。秀次一族は、まだ側室に上がったばかりの関係の無い若い娘まで殺されている。
遡ること四年、1591年年末遂に秀次は二代目関白の職に着く。先立って子供の居ない秀吉の養子にもなっている。この頃までに秀吉は自分には子供が居ないから豊臣家は秀次に託そうと思っていた節がある。だが1588年自分の主君の妹であり、戦国一の美人と言われたお市の方の三姉妹の長女である茶々を側室にしている。
第一子の捨(鶴松)を産むがすぐに夭逝するが1593年第二子の拾(秀頼)を産む。それを褒めあげ淀の山城を与えているそこから淀殿と呼ばれたと言う説がある。
秀吉には実子が居ないとされている。では何故茶々は秀頼を産んだのであろう。主君であり日本を統治するに当たり織田信長の正統性が欲しかったのであろう。それに妹のお市の方の面影を残し若い茶々が可愛くて仕方がなかったので有ろう。信長の系統の子孫がどうしても欲しくて茶々が懐妊出来るように企てたきらいがある。
秀吉は希代の女好きである何十人何百人と言われる妾には子供は一人も居なかった。でも相手の側室たちの中には、家来の嫁であり子供も生んだものもおり、又は後に誰かに与えたあと子供を生んだ側室もおり問題は秀吉に有ったものと思われる。
だから当時物事を祈るのに参籠と言って、寺院に何日かこもることがあった。そこで一人と一緒に籠ったのでは父親が誰かがすくにばれるので、何人かの男と籠ったと思われる。詰まり秀吉公認の浮気である。
上手く行っていた秀次との関係。でも考えてみると自分は死に物狂いで戦ってやっと手に入れた関白と言うとんでもない権力を、こいつは二十歳そこそこで手に入れ我が物顔に振る舞っている。しかもいい男で子供もいる。腹が立ってきたのである。
そこに信長正統の秀頼が生まれたのである。死ぬ前の年寄りは、そうでなくてもひがみ根性が出て被害妄想気味になる。筆者がそうである。
そこで有ること無いことに因縁をつけて文句を言うようになる。そうなると回りも有ること無いことを秀吉に諫言する。そこには我が子可愛い淀殿の一言も有ったであろう。
秀頼が生まれてからは、自分は隠居して聚楽第と大坂の真ん中にある伏見に籠ると初めは思っていたのであろう。でも前に述べたように色々な思いが頭をもたげて、重臣たちの屋敷も作らせている。奉行たちを通じて伏見に拝謁に来いと何度も言ったが中々来ない、そこで誰かが入れ知恵をしたのであろう。秀次に謀反の疑いがあると言い出した、そこでこれはいかんと伏見まで行ったが秀吉には会えず、そのまま高野山に行けと言われた。
高野山には秀吉の母の大政所の菩提寺である青厳寺に留め置かれた。そこで隠悽していた秀次に切腹の命が下った。秀吉はその首を伏見で検分したが、それでは厭きたらず丹波亀山城に捉えていた一族を、三条河原の刑場に引き出し処刑したのである。
その三年後秀吉も死没する。何故ここまで可愛がった甥をここまで憎んだのであろう。私が思うにそこには戦国の世を生きる男と女たちの葛藤が有ったであろう。男たちは戦争に明け暮れ女たちはそんな男たちに気に入られなければ生き死にに直結する。だから女たちは美しくあり、閨房の術に長けている女が男たちに気に入られたのであろう。そこに加えて信長ブランドのオーラを纏った淀君は秀吉にとって特別の女性だったのであろう。
京の町の欲も憎しみもどろどろした川面に流し鴨川桂川と流れていく真っ赤な水を淀城から見詰める女が一人いた。この女の生き方は、現代の女たちにも脈々と受け継がれている。時の実力者に気に入られ認められる生き方は有りだと思う。この世の中は死に物狂いだから。
京都隠れ恋
作詞 つばめのす
京都三条 お茶屋の娘
茶筒に隠れてかくれんぼ
二人口づけ抹茶のかほり
京都五条 旅籠の娘
布団に隠れて乳繰りあって
親に見つかり叱られた
京都七条 麩屋の娘
練って練られて恋仲に
二人いずれは麩う麩になるの
京都大原 お寺の娘
恋に破れて尼入道
紅葉の紅が身を焦がす
京都錦 蕎麦屋の娘
いつもあなたのそばがいい
親に請われて婿養子
京都北山 カフェの娘
出入りのパン屋とふくらし粉
嵐山に店を暖簾分け
京都十条 電気屋の娘
選り取りみどりのノーベル賞候補
くるくるピカピカ光ります
京都淀 馬屋の娘
障害レース思うほどに何もなく
二人すんなりゴールイン
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