沖縄の唄は、三線と太鼓のリズムに載せて歌い上げる。中でも女唄者の張り上げる歌い方は、あくまでも明るく悲しげな唄でさえ、フラットさせない。聞くものの胸に響いてくる。それはどこまでも強い日差しとどこまでも緩めない泡盛の飲み方からなのか。
「唐船ドーイ」「ヒヤミカチ節」などの煽りたてる曲や「安里屋ユンタ」「てぃんさぐぬ花」のようにゆったりした唄でさえ独特のこぶしで心を揺さぶって来る。
昼間強烈な太陽光で炙られ、夜は喉の中から強い度数の泡盛に焼かれ魂は、否が応にも盛り上がってくる。やがてどこからか涼風が吹き出し一同を静めたかと思いきや、また三線と泡盛と絞り出すような女声が何重にも波となって観光客を攻め立てる。
ゴーヤチャンプルーの苦味が心地よくなる頃そろそろ宴も終わりに近づいて来る。誰かのリクエストで「ふくらしゃ」が流れてる。明日が今日と同じで有ろうと無かろうと、夜は更けていく。唄者と聞き手の心が繋がっても、無情の見えない鋤が切っていく。せめて夜が明けるまで待っておくれ、明日乗る舟はもう港に繋がれている。
もう一杯飲ませておくれ
観光客 作詞 つばめのす
私は しがない唄者です
いつもは国際通りで歌ってる
主さんは 海の上 空の上の人
私の体はついて行けません
「季節の風が変わっても
俺の心は変わらない」
そんな男の便りが消えて
夏が過ぎても 吹きません
はいや はいやでライブする
女の心の悲しみは 旅の男の酒の肴
島の女の愛嬌は三線引けば染み渡る
酒で濁った意識の中で
デイゴの花が散っていく
主さん 主さん 戻っておくれ
私の命も限りある 触れあう袖も紅型模様
どうぞきつく握って下さい
芭蕉布の着物に着替えているから
二人で愛の糸を紡ぎましょう
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