祇園女坂

作詞

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美しい舞子達

不思議なもので、お盆を過ぎ京都五山送り火が終わると急に秋風が吹き始めます。そうなると人間あの夏が恋しくなります。居れば暑く過ぎれば恋しくなる、まるで恋人のようです。

時の流れに抗うことなど出来ないのは、分かりきっているのに戻れない自分が切なくなるのは何故でしょうか。時の流れは一方向そのエントロピーは相当きついですね。床にばら蒔いたきな粉を元の容器に入った状態に戻せないように、時はより乱雑な方に流れていきます。

流れていきますと言うように、我々に取って時の流れは川の流れの様にゆったりしたものでありますが、実際は凄い速さで流れているのかもしれません。対象となるものが無いから速さを感じないだけです。

しかも何故時は、過去から未来へ流れてると思うのでしょう。それは人が、過去しか記憶出来ないからです。もし時間が何処かで逆流しても、その瞬間に今までの未来を過去と認識するから、いったり来たりしている可能性すら有ります。

でも人々の間では、時は同じ方向に流れているのは今のところ間違いないと思われます。それぞれが違うと世の中バラバラになります。

京都は過去千年の間に、幾度となく戦禍に見舞われてきました。観応の擾乱、応仁の乱、本能寺の変、尊皇攘夷と幕府の戦いと数え上げてももっとあると思います。人々の想いが別々の方を向いたとき、押さえきれなくなったとき争いは起こります。

京都は千年のもの間都として繁栄してきました。それは水に恵まれたからだと言っても過言では有りません。京都盆地に溜まった水が京の町の下に巨大な水瓶となって存在しています。だからどこを掘っても名水が涌き出てきます、しかも鴨川と高野川がY字になって中心を流れています。水は人の心を癒します、その一方水不足やそれ自体が沸騰してくると、人心を荒らします。安倍晴明以来京の町には時々妖怪が跋扈すると言います、四神相応のもと左青龍右白虎前朱雀後玄武の守り神が京の町を守ります。

白河天皇が「賀茂川の水、双六の賽、山法師これぞわが心にかなわぬもの」と嘆いた鴨川、それを鎮めるが如く西向に鎮座した八坂神社、元名祇園社の祇園からその町の名前になった門前町、元々川の両側が栄えていたが今は、東側が残った。

その参詣人たちを相手にするお茶屋の女達が今の芸者の始まりと言われている。いわゆる花街の女達には歴史には残らない数々の悲しい物語がある、今一つでも残せたらと思って書きました。

 

祇園女坂

作詞 つばめのす

あなたと見上げた八坂の塔も
今日は一人で背を向ける
祇園の女は恋しても
愛しちゃいけない屋形の教え
二人で登れる坂ならば
どんな苦労も厭わない
あなた恋しい 女坂

女紅場の裏で待ってる
おちょぼの文に駆け出す私に
通り雨が邪魔をする
ひさしに宿す隠れ恋
二人を繋ぐ雨ならば
濡れても行きたい 女坂

水揚げの噂に煩わされても
あなたへの想いは募ります
会いに行けないもどかしさ
二人歩けぬ道ならば
いっそ転げて落ちていく
あなた奪って 女坂

 

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