那覇空港

作詞

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酒と女

女と酒
那覇空港を通り抜ける乗客達の中に一人の女がいた。無類の酒好きである、酒のためにうた歌いの大事な喉が潰れても仕方がないと思ってる。商売道具の三線を抱えタクシー乗り場に急ぐ。三年振りの那覇だった。

車は国際通りの中ほどに止まった。時刻は午後一時ティーラは真上に位置していた。ティーラはこちらで太陽のこと、女は一軒の居酒屋に入っていった。まさかもう一杯引っ掛けようというのか、流石にそれは違った。女は一人の年増の女性に声を掛けた。

「アンマーはどうしてる」「心配なら自分で直接聞きなさい、昨日も家で歌って呉れてたよ」女はそれを聞くと安心したようにビールを頼んだ。「ウフアンマー私にも歌わせてくれる?」
女性は何も答え無かった。

女の名前は麻里絵、三年前に母親と喧嘩して沖縄を飛び出した。地方を転々として今は東京の居酒屋ライブで凌いでいる。唄は母親譲りで上手いのだが、取り敢えず無類の酒好き、ライブでも終わると客に奢って貰って毎晩朝まで飲む。時に意識を失ったり普段気に入らないスタッフと大喧嘩することもしょっちゅうあるみたい。

東京の居酒屋でも、沖縄出身の炊事場のおばさんと喧嘩して手は出さないけど、怒りが収まらないから物に中。だから朝起きて気が付くとそこら中に痣があり時には千賀滲んでることもあった。本人は次の日はケロットしている。お酒には強いから二日酔いになることは無かった。

沖縄から来た客の一人に母親のことを聞いたのはそんな時だった、自分も寂しく母親のことは気になっていたのだろう。店に無理を言って次の日の朝の便に飛び乗った。

母親はすぐに許してくれた。二十歳になって商売柄と言っても、あまりに酒に溺れるから心配で言った言葉がすれ違いの原因だった。麻里絵は暫くは大人しくしようと思った。男より酒の方が好きな質だから恋人なんかでないだろう。好きな唄と好きな酒で生まれ育った那覇でこのまま母親と一緒に暮らしていこう。母親も歳だから

追記

テレビで三十過ぎの女が、「酒を飲まなくて人生の味が分かるのか不思議」とか、あるおっさんが「つばめのすさん、酒を飲みなはれ。人生変わりまっせ」、昔高いクラブのママに「つばめのすさんは変わってる」と言われた、そりゃそうだろうこの店で素面なのは俺だけだから。

酒と女は似合わない。本人は好きだからいいんだろうけど、酒を飲まない男から見て色気も粋も感じない。まあお互い様だね、向こうからしたら酒を飲まない男なんて価値が無いんだから

そんな女の面倒を五年見た。金と気の使い通しだった。私に対する愛情も多少は有ったんだが多分酒で大分薄められてたなと今となっては思う。素面の時はまともに見えるのにいざ酒を飲み出すと掴み所が無くなり風船のように飛んでいく。よく私の知らない男とも飲み歩いてたみたい。普通の神経なら持たないと思いますよ。お互い酒好きならどうなんだろう、悪いとこが見えないからうまく回っていくのかな。この人生では確認のしようも有りません。何故なら私は生来の下戸だから

那覇空港

作詞 つばめのす

久し振りに降り立つ空港
切れた三線の糸 結び直したくて
あれから三年 やはり唄いたくて

私は唄者 島の唄者
悲しくても唄う 嬉しくてならなお
母と一緒に唄ってた

母に習った三線 母が買ってくれた
ブルーシールアイスクリーム
元気が無いよと人伝に聞いた
切なくなって苦しくなって
飛び乗った

私は唄者 島の唄者
悲しくても唄う 嬉しくてならなお
母と一緒に唄う

母が叩く太鼓が 胸に響く
国際通りの裏通り ライブハウスの夜
熱い想いが胸を突き破り
母の合いの手が 優しく撫でて呉れる

 

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