函館心中

作詞

函館には二度程行ったことがある。一度目は五十年前ちょうど北島三郎さんの函館の女が流行ってた頃、午前4時頃函館港に入港しました。当時は青函フェリーしかなく汽車と一緒に載せられました。デッキの一等席には、当時高嶺の花のトヨタ2000GTの真っ白のボディが置かれていたのを覚えています。誰のだろう北島三郎さんのかなと友達同士で話してました。夏と言うのにとても寒かったです。

二度目は湯の川温泉に泊まって、大沼でゴルフしました行きも帰りも函館空港でした。飛行機が函館山の頂きを掠めて海岸線を抉ってグライドスロープを滑って行きます。とても絵になります。函館山の展望台から見てもジェットが手に触れるように感じられ思わず手を振ってしまいます。愛する人が去っていくシチュエーションを想像しながら。

函館の街は景色が素晴らしいですね、夜景も言わずもがなです。そして食べ物が素晴らしい、朝市に始まり、回転寿司、ラッキーピエロ、五島軒、スープカレー、ラーメンいくらでも挙げられます。唾も沢山涌き出て来ます。

湯の川温泉のホテルの一室のチェアに座り海を見ていると遠くに灯りがチカチカします。恐らく大間の町灯りでしょう、近くて遠いこの灯りを明治の初めに渡ってきた人達もきっと見詰めたでしょう、涙が滲んできます。何も分からない暗い時代に落ちぶれて、或いは一発逆転でやって来た男たち、それにすがるように付いてきた女たちの赤黒くたくましい情念が今もこの町を覆っています。

亡くなった父が、デパートで五島軒のレトルトパックの函館カレーを良く買って来てました。何故か他のカレーよりも美味しく感じたのを覚えています。北斗から函館湾越しに見る函館山は蒸気に煙って遠くに感じられます。また会いたいわ

 

函館心中  

作詞 つばめのす

あなた悲しい 吹雪の朝は
北斗の街が 海越しに
山を見詰めて泣いている
二人添えない 定めなら
紅いこの血を 飲み干して
真白き龍に 化身する

凍てつく波止場のもやい綱
ビットに絡まり 軋んでいる
私を載せてあの人のもとへ
運んでおくれと頼んでみても
連絡船は 風に吹かれて揺れるだけ

二人を結ぶ赤い腰紐を
切って行きたいあなたなら
せめて今夜は船宿で
私を抱いて夜明けまで
沖行く汽笛の 咽び泣き
私を殺して行きなさい

 

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