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乗り換え駅
人は、人生の中で何人の人を愛するのだろうか。ここで言う愛は恋愛対象としての愛である。物心が付いてからずっと愛との葛藤であった私に取って、愛とは精神的に上位にあり憧れの存在だった。出会いもなく勿論先方からのアクセスなんてまるでない、スカスカの一本道である。失礼を承知で言うなら殆どの人がそうであろう。もててもてて困ったと言う人はまれであろう。そんな中で女の人は横柄に生きていると感じられて仕方がない。生きていくにはそれも仕方がないのは理解できる。兎角この世は生きたもん勝なところがあるから。
生きるのが上手な女は、上手に男を、乗り換えて行っている。それはみごとなものだ。下手な女はとことん下手だ、それは天性によるのだろう。女は男を乗り換えてなんぼ、男は女に乗り換えられないようにしてなんぼみたいなところがある。女を責めてもダメです、女には女の事情がある。女は幸せを求めて地の果てまでも行ける生物だ。男が女の理論で生きようとしても無駄だ、とてもついていけない。
男と女には不思議な縁が有る。無理に引っ付けようとしても引っ付かない寧ろはがれていく。一緒になる運命なら何万キロメートルを超えてもやって来る。ただ時間の差だけは大きければ難しいところがある。時間と距離は相関があるように見えるのだが落とし穴が有る。近所にいても年の差がありすぎると添えない。これはもう縁としか言えない不思議な世界である。
運命とか縁とかは人生にまとわりついてくるものですが、触れそうで触れられないものです。人の自由に成らない運命、縁でも一度その運命縁が発動すると大きくその人の人生を変えていきます。劇的に危機的に一度動き出すと手では止められません。空中に打ち出された逆転満塁ホームランのボールみたいに、外野フェンスを越えるか、ライトポールを切れていくかは敵も味方も分からない。触ることも出来ないで飛んでいく、でもお互いの運命を確実に決めにいく。地獄行くのか天国に行くのかはボールにしか分からない。
ボールには人それぞれの名前が書いてある。野球のボールのような目でわかるほどの劇的な運命を授かる人は希だ。ほとんどの場合生きているのかさえ分からない薄い運命が普通だ。世界的に有名な人はとんでもないほどの運命を持っている。
女性に限ればその運命の行方を握るのは乗り掛かった男によって決まる。少女として生きて二十年、壮年の女性として生きて六十年、その頃には伴侶となった男がいても死に別れる頃だろう。その間の人生はどんな男と係わってきたかによる部分が多いと思われる。そりゃ女一人で生きてきたと言われる方もおられるだろう。でもどんな男と生きてきたかが大いに運命を変えて来ただろう。男だっておんなじだ、あの時付き合っていた女と今もいたなら俺の人生どうだったろうと思うことも有る。
一度手を離れたボールは触れないし方向を変えることも叶わない。女の人も一度乗った男と言う電車を変えるのは容易くない。飛び降りるか、非常停止ボタンを押して電車を止めて扉を自らの手で開けて降りていかなければならない。だから人生に何度か来るであろうステーションは大事なポイントである。
私は女の人が人生の中で何度でも乗り換え駅に立ち人生のポイントを切り替えるのはありだと思う。倫理的に抑えられるより自発的に自分の本能の元に生きるべきだしその方が楽しい、でも運命の難しいのはそうして自由に生きても幸せになれるかは分からない。また別の何かが働いて人生を変えていく。歩いてきた軌跡は分かっても、未来に続く路線図は見えそうで見えない。
でも一つだけ言えることがある。人の路線図と比べても仕方がないことでしょう。それと運命は自分の手を離れてどうしょうもなくなってから外から見える位になってから、やっと冷静に見えてしかも理解できるものだとこの頃思うようになってきた。
運命や縁なんてものは生きている自分には見えないし考えなくても良いものかもしれない。自分を離れて飛んで行ったボールのようにやがては見ることが出来るのだから。今はせっせと次の電車を待ちましょう。自分の運命は自分が持っていると思っていたが、ひょっとしたら他の人が持っているのかも知れない。それこそ運命の人が。それと自分も誰か他の人の運命のボールのを持っているかも知れませんね。だから人嫌いでも我慢して人と付き合わなければならないのはそこでしょう。自分の運命は好きな人が持っているとは限らない。嫌いな人が持っていてくれてるかも知れません。
乗り換える女
作詞 つばめのす
女は全て幻 行先の分からない電車に乗っている
この電車は普通だけれど どこかの駅で
次の急行に乗り換えましょう
コンコースは傘の滴で濡れていた
男と別れる度に雨が降っていた
雑踏の中で一人佇む私
幾つ目の乗り換え駅を数えただろう
雨の匂いがする4月
恋を乗り継いでと言えば聞こえがいい
でも本当は男を乗り換えて来ただけ
4月は淋しくて嫌い
未来に続く路線図が見えない
発車のメロディが流れている
取り敢えず乗らなくっちゃ
窓から見える向かいのホームに
別れた男が立っている
車内は空いていた 電話する
遺失物係に ホームのベンチに
置き忘れた幸せが届いていませんか
何番線のホームですかの問い掛け
それすらも忘れてしまっている
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