冬鳥越え

作詞

Contents

廃駅

日本全国に廃駅はどれ程あるのでしょうか。数えて見ると三百三十程ありました。それぞれの理由で消えて行ったのでしょうか。乗降客数がとても減った、競馬場が廃止になった、スキー場が無くなった。矢張り廃線廃駅は北海道が多いようです。

日本人は廃駅が好きだ、それが終着駅なら尚更悦ぶ。自分自身の行く末と過去とが、その朽ち果て滅びて行く姿と被るからだろうか。スキー場の頂上から見下ろす赤い屋根の駅舎が見える。今は廃線となった蒲原鉄道の冬鳥越の駅。スキー場は今も営業しているそうです。ファミリータイプの緩やかなゲレンデ、子供たちが色々の可愛い服を着てそり遊びする姿が目に浮かびます。

「駅station」の映画の舞台になった増毛駅。留萌本線の終着駅だったが2016年、留萌ー増毛間が廃線になったのに伴い廃駅になる。元々は留萌までだった留萌本線、日露戦争に勝利し樺太の南半分が新しく領土になったので留萌と樺太を結ぶ連絡船の港として留萌港を改良しょうとしたが波が高く適していなっかったので、良港の留萌が目を付けられた。初めはバス運行だったが増毛まで留萌本線が1921年(大正10年)延伸になった。最果ての終着駅の風待ち食堂を借りて映画監督の撮りたかった男と女の悲しい情念の縺れ,撚っては解く切ない愛の糸の細さが胸を締め付ける。

稚内桟橋駅、昭和20年8月樺太大泊からの最後の連絡船宗谷丸の入港をもって航路を閉鎖し稚内桟橋駅も終わりの日を迎えました。往時は人の行き来が盛んで国鉄の最北端の駅として存在感が有ったであろう。桟橋所以に波を被り事故が絶えなっかたので、堅固な波除けドームが作られた。今はそれが残るのみである。北防波堤ドームとして北海道遺産に指定されている。今は利尻礼文とのフェリー港の稚内港を守っている。

時の歯車

時の歯車を戻して見ても見知らぬ人が行きかうばかり、歯車を進めても曇り空が続くだけ。人はみな偉く見えて幸せそうに笑っている。時間鉄道の停車場に立ち寄っても父母の姿はもう帰らない。格差の階段を登って見ても最上階にたどり着けない。どこかで自分の写真を飾る額縁を見つけねばならぬ時期となったようだ。地下室に降り立っても気が晴れない。飲み屋に行っても客の競争心を煽る飲ませ方、客も己のブランドの見せっこ、ホステスの順列も売り上げ順。いくら気取って見ても金のやり取り、儲けている奴には叶わない。一晩で百万円二百万円使っても、その横でオオママが内の店の最高は一晩で二千万くらいかなと言い放つ。ママも人間だから肝臓の続く限りシャンパンを開けまくる。人の欲なんて体次第、いつかは切れ目が見えてくる。お相伴酒を席の端っこに座らせて貰って飲むのが一番、太鼓持ちでもなんでもいたします。

大ママよりチーママの方がいい。売り上げの半分は貰えて経費は店が持ってくれる。出勤は客に合わせて重役出勤例えば月に一千万売り上げるチーママだと五百万は持って帰る。昔行っていたクラブのオーナーママが良くぼやいていた。

クラブあるあるの一つに、昔の太客が車椅子で来ることがある。隣の席で若いホステスが自分の客に囁く「あんなになっても飲みに来たいのかな」。そりゃそうだろう金は有るし時間も有るし、ないのは健康な体だけ。そうして銀座の歴史は繰り返す。交際費で飲む、印税でのむ、成金で飲む、色んな飲み方があ1月る。許せないのは税金で飲む奴これが一番大きな顔をする。物書きが売れると必ず行くのが銀座、これは自分の身銭で行ってるから許す。本が売れて飲む酒はさぞかし美味いだろうお気に入りの女に囲まれて有頂天、もうその上は有りません。

時の揺らぎは涙を誘う。写真立ての中の写真が色あせてセピア色になっても、物干しの洗濯ピンが風化して崩れ落ちても、この身体が老化しても意識は旅をするでしょう。時間鉄道の停車場にひさしぶりに行こう。今度は未来方面のプラットホームに立とう何番線か知らないけど入場券で入れるかしら。次に来た列車に乗って中で切符は買おうと思う。どんな未来に連れていってくれるか知らないけどそれもいいだろう。未来は青く光るのかなそれとも赤く鈍く輝くのか。想定内なのか想定外なのか、たぶん想定外だろう。今までがそうであったように

 

冬鳥越え

作詞 つばめのす

十五 十六 十七と通った駅に
もう君は居ない 廃線の跡に
錆びたレールが棄ててある

夏草が二連の首飾りのように
向こうの山まで続いていく
駅舎の柱に凭れて電車を待つ
君の姿が 今も目に浮かぶ

冬にはスキー客で賑わった
改札口も朽ち果て 巣だった
鳥達ももう戻ってこない
今心を遊ばせても 貴女の笑顔は
消えかけた時刻表の中

匂い立つような乙女の羞恥を
浅く掛けたシートに押し付け
あの夏の日の午後に知らない街へ
旅立った貴女の白い肌触りが
今もこの手に残るよう

思い出の越後 冬鳥が越えて行く
妙高山の遥か向こうへ

 

この作品の著作権は作詞者に帰属します

タイトルとURLをコピーしました