函館ラブロマンス

作詞

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函館ラブロマンス

北前船で財をなしたもの達に、兵庫の北風家、久美浜の稲葉本家、酒田の本間家など多彩な面々が連なる。さほど廻船業と言うのは儲かったらしい。そこから派生して材木商や両替商、米商人或いは、紀伊国屋や奈良屋で知られる放蕩組吉原の花魁を競って買い漁った。伊丹の酒を船に積み込み下り酒として江戸で売りまくって得た金で全国の大名たちに大名貸しを行い莫大な財を成した鴻池家。また鴻池新田でも有名である。

ことほど左様に男たちのロマンを叶えてくれた廻船業、もう一人いた。当時蝦夷地は松前藩を中心に渡島半島の辺りで本州やロシアとの取引が行われていた。松前、江差、箱館の三つの中で一番寂れていた箱館に目を付けたのが淡路島出身の高田屋嘉兵衛だった。私財を投じて港湾を整備し松前藩にもその存在を認めさせるようになる。

国後択捉の航路を開発し、各地の漁場を整え巨万の富を得る。後にロシアに捕まり不遇の時代も有ったが、それも解決しロシアとの関係を深めた。明治初期に箱館を函館と改められた。今でもロシア正教会が残り朝晩祈りの鐘が鳴らされる。

元々渡島半島南東部の火山島だったのが、海流の力で砂州が出来、陸繋島と成った。函館市街の中心部は砂州の上にある。幾つかの噴火が重なり山体をなすが、函館山と言うのは総称で有り牛が伏せたような形をしているので臥牛山と呼ばれることもある。展望台のある御殿山を始め十三の峰の集まりである。

峰は立待岬の裾から津軽海峡に落ち込み、岬の上から下北半島を眺めて涙を流したのであろう。風情のある名前である。

函館山の北斜面は函館の名所となっている、十八とも十九とも言われる坂道を作り出している。基坂、八幡坂などが有名である。ロープウェイに乗って展望台に行けば、夏でさえ上着がいる。夕暮れから続々と人が集まり、時には人々の肩越しから貴婦人の腰のように絞られた夜景を観ることになる。それでも一見の価値はある。

函館朝市から始まり函館のグルメは外せません。歌にしましたので堪能してください。廻船業を始め東廻り西廻り航路を開発した河村瑞賢、諸国を吟遊した松尾芭蕉が友人で有ったのは故郷が近かっただけでなく、辺境の地まで行く精神が近かったのであろう。そんなとき各地の食材は旅情を慰めたであろう。因みに河村瑞賢は南伊勢町、松尾芭蕉は伊賀上野の出身である。

函館五稜郭、大沼国定公園などの函館観光を終えて湯の川温泉のホテルに帰ってくる。ホテルの窓から見る大間の灯火のちらつき旅の旅情で空いた腹を、温泉街の屋台の塩ラーメンで癒す。朝から晩まで寝る暇も無いほどお腹を堪能させてくれる函館。歴史の旅人が持ってきた心の叫びが詰まった函館の街並みドックオブベイのハンマーの響きを聞きながら頬張るバーガーの味、世界に届けと弾けます。

江戸末期から全国に先駆け外国に開国した函館は、諸外国の人も住むように成った。教会を建てたり領事館を建てるようになると大工の技術も膨らみ腕を奮いたくなる。それと函館特有の見栄っ張りの精神が重なり港や下から見て洋風の建物が並んでいるように見せたくて、上下和洋折衷の家を作っていった。つまり一階部分を和風、港から見える二階を洋風にした。屋根は瓦のままが多い。

初めは函館で外交を始めた諸国も取引高の大きい神戸や横浜に逃げていくようになった。焦った函館は一層洋風化の方向に向かった。それが今の街並みにも色濃く残っている。私は大好きです。

 

A面 函館ラブロマンス

ドッグを眺めて 泣く私の
鼻先に匂う バーガーの香り
振り向くと あいつがいた
それが恋物語の プロローグ

函館の朝は  海鮮丼から
すする味噌汁が お腹に沁みる
あなたのために 早起きしたの

昼はあじさいの花が咲く町でデート
塩ラーメンの鉢に写す五稜郭タワーを
美味しすぎて 飲み干すの

夏に歩いた 大森海岸
ふざけ合う二人の姿を見守る
函館山のトンビのかんたろう
回転寿司のレーンが走る

ベイエリアに火影が揺れる頃
お洒落なバーで 食前酒
後は 洋館のムードが漂う
青柳町のレストラン 愛を語り合う

雪うさぎの足跡が残る小道
一人で食べる 悲しみのスイーツ
なぜかしょっぱくて 涙が止まらない
これが恋物語のエピローグ

 

この作品の著作権は作詞者に帰属します

 

B面 函館の男

函館山の頂きから 空港が見える
一機のジェットが舞い上がり
鼻先を掠めて 南の空に消えていく
あなたが乗った最終便
冷たい風が頬の涙を吹き飛ばし
「恋は終わった もう行かせてあげな」と
言っている

幸坂からクレーンが見える
二人暮らしたアパートは
白い小さな思い出の箱
あなたが好きだったカレーを
買って帰ります
ななかまどの赤い実が
寒さを告げて 震えている

五稜郭の町外れ
二階のバーで飲んでいる
あの頃二人で聞いていたブルースが
私の心を慰める
外は吹雪になったけれど
今は一人で歩いて行ける
あなたがくれた悲しみと一緒に

大間の灯りが瞬く湯の川温泉
漁火通に人の姿が途絶える頃
流しのラーメンバスで
おやじ夫婦の話しを肴に
一人酒を飲む
あなたと別れてちょうど一年
夏の夜更けは肌寒い

 

この作品の著作権は作詞者に帰属します

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