紅茶カップ 秋

作詞

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日常生活と恋

恋はどう考えたって日常ではない。付き合う期間が長くなってくると、惰性になりときめきとかが薄くなってくる。恋の賞味期限が切れてくる、そして紆余曲折して破局にまで至る。

また元に戻れば良いけど、中々それも難しい。一旦昂ってた気持ちを低いレベルまで引き下げなければいけない、その状態で時々デートしなければならない。二人はまだ結婚していないのだから二人を縛り付けるものは何も無い。愛と言う訳の分からない呪文で繋がれているだけ。まだしも遊園地のフリーパス見たいに腕に付けるリストバンドがあれば、ガキじゃあるまいしの言葉が聞こえてきます。

もうすぐ秋です。紅茶が欲しくなる季節です。
秋は恋に落ちやすいとか秋は失恋の季節だと言い、どちらにも縁の無いものに取っては食欲の飽きだけが残ります。
夏に稔った恋が秋に散るなんて短すぎるでしょう。『大阪の秋は 何もない秋です』では歌にもなりません。

せめて一年でも持たせて、日常生活をしてその中で切磋琢磨して育てていきたいものです。そんなときのアイテムが紅茶です。二人の仲が冷めてきたときに、お茶でもしましょと香り高い紅茶を専門店で買ってきて蘊蓄を垂れるのも良いでしょう。アフィリエイトにも使えそうです。わたしのブログではアフィリエイトは微塵も感じられません。大体やり方も分かっていません。そんな専門知識もないし、別れや貧困について語るのが精一杯です。何処かの事務次官みたいですね。

ここで紅茶の種類など特化してお伝え出来ればいいんですけど、それこそ、その道のプロたちのサイトが一杯あるので見に行って下さい。リンクの貼りかたも分からないブロガーなのですいません。

そこで一つのショートショートを書きます。それで秋の夜長を過ごしてください。かく言う私は、今紅茶を飲んできました。ブランドは分かりません。

インドに一人の女性が住んでいました。広大な邸宅に一人で住んでいました。両親はロンドンの高級アパートにいて貿易会社を経営していました。女性の弟は両親と一緒に住んでいます。

一人住まいと言っても召し使いや女中はいるけど、インドでは召し使いはゴミ以下です。ここでは省略します。女性は大層な美人でした。ここ数年で結婚しなければいけない年齢に達していました。そこで女性は考えました、縁談で持ち込まれている七人の中から選ぼうかと。

彼女は大層紅茶が好きでした。そこで男の顔写真を見ながら一つ一つの特徴を捉えて紅茶を当てはめていきました。

一人目夏に強そうだしこくもありそうだからダーリジン
二人目はアーリア人独特の眉と赤みがかった顔色からアッサム
三人目は万人受けのする顔だからセイロン
四人目はミントのような笑顔にウバ
五人目はイギリス王室にも婿入り出来そうな姿にロイヤル
六人目はあっさりした顔にニルギリ
七人目は甘い柑橘類のような雰囲気にアールグレイ

それぞれ当てはめて毎日一人ずつ呼んでその紅茶を飲みながら自慢の庭園を散策しました。勿論体の関係はまだ拒否です。七日掛ける七週で四十九日試しました。

女性は一つの結論を出しました。仕方がないこの人と結婚しよう。彼女は次の日決めた男を呼んで庭園を見渡すテラスにテーブルをセットさせました。男が来ました。置かれた紅茶カップを取り上げると一口、口に含むと顔をしかめました。何も言わずに立ち上がると去って行きました。不思議に思った女性がカップの紅茶を飲むとあっと声を上げました。違う私が言った味じゃない。

何故でしょう。今日呼ばれた男に遠くから見ていて好意を寄せていた女中がわざと違う紅茶を淹れたのです。さて女中がわざと淹れなかった、つまり女性が淹れるよう命じた紅茶はどれでしょう。女性と女中の男の好みが一致してしまった悲劇でした。

紅茶好きには堪らない秋が来ます。好みのカップに好みの紅茶そして好みの男が前に居れば言うことなしですね。もしいなくっても大丈夫です。一人の女性と秋もとっても似合います。私が好きな紅茶はアールグレイでした。

 

紅茶カップ

作詞 つばめのす

恋の始まりの物語は容易く描ける
冷たい風のなか 鴨川の畔を歩く
やがて見詰め合う二人は 熱い口づけを
考えることなど要らない

ペンが走るままにストーリーが生まれる
考えることなど要らない
欲望のままにほとばしる感情
時間の速さなど気にならなかった

それでも月日が経ち何度も
日常を繰り返すうちに
紅茶カップの内底にこびりつく
茶渋のように 二人の愛にもスラグが
溜まり出す

はじめの内は擦りとって綺麗にしてたけど
やがてそれもめんどくさくなってくる
カップの底を眺めてため息をついても
晴れない思いが繰り返す

外から見てもわからない二人の怠い時間が
カフェのガラス越しの通行人にもばれる頃
紅茶も冷めて砂糖も溶けない
必然に小さな枯れ葉がカップに忍び込む

 

この作品の著作権は作詞者に帰属しま

 

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